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新美南吉が、この「でんでんむしのかなしみ」を書いたのは1935年の5月です。新美南吉の年表を見てみると、次のようなことが分かります。少し前の1931年、新美南吉は東京外国語大学に入学後、鈴木三重吉の「赤い鳥」などに物語などを投稿していました。しかし、1933年に鈴木三重吉と北原白秋がささいなことから衝突してしまい、北原白秋の門下にあった南吉も「赤い鳥」への投稿を取りやめざるをえなくなってしまいます。
実は、赤い鳥のほかにも「チチノキ」という同人誌にも投稿はしていましたが休刊状態であり、書いた物を発表する場所がない、という状態でした。さらに、1934年には喀血をし、症状は軽かったものの、結核の症状が出てきます。
こうした状況で、新美南吉の文学上の先輩である巽聖歌は、童話の執筆を依頼します。残念ながらこの話は出版には至りませんでしたが、1935年の5月には50編もの作品を書き上げたと言われています。よほど、書きたい気持ちが強かったのでしょう。そして、その中の一つに「でんでんむしのかなしみ」があります。
「でんでんむしのかなしみ」は、1950年に羽田書店から出版された「ろばの びっこ」という童話集に収められています。でも、それは、新美南吉の死後のことでした。新美南吉が、何を思ってこの物語を書いたのは分かりません。やさしい文章ながら、深い悲しみを書ききっているのは、さすがだと思います。
さて、絵本の紹介です。原題は「デンデンムシノ カナシミ」です。カタカナで書かれているのですが、文章を平仮名として読みやすくし、小さいお子さんでも分かりやすいようにしました。実際に読んでみると、子どもだけでなく、大人にもこころに響く作品だと思います。
でんでん虫は、ある日、自分の背中の殻に、かなしみが一杯つまっていることに気付きます。でんでん虫は友達を訪ね、もう生きていけないのではないか、と自分の背負っている不幸を話します。でも、友達のでんでん虫は、それはあなただけではない、私の背中の殻にも、かなしみは一杯つまっている、と答えるのでした。
作品の購入について
こちらの絵本のPDFは、基本的に定額制のサービスでの提供となります。幼稚園や保育園など教育機関向けには、プロジェクターや大判で印刷することができる大判タイプも提供しています。詳しくは、下の表のリンクからお問い合わせください。
本の題名 | でんでんむしのかなしみ |
作者 | 文:新美南吉、絵:熱田ゆうこ |
出版社 | Pictio |
発行日 | 2014年10月 |
価格 | 800円+税(Pictio Premiumでは定額制) |
判型/ページ数 | B5~A3/11ページ |
対象年齢 | 5歳以上 |
問い合わせ | http://www.pictio.co.jp/contact |
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