2011年版 絵本の「ブッククラブ」の選び方-福音館書店「あのねぶっくくらぶ」「こどものとも」

 次に取り上げるのは、福音館書店のブッククラブです。国内における児童書の出版で他をダントツに引き離している福音館書店ですが、外から見ると福音館のブッククラブは少しわかりにくい感じがします。まず、福音館書店のブッククラブを見てみましょう。

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こどものとも:http://www.fukuinkan.co.jp/magazine.php

あのねぶっくくらぶ:http://www.fukuinkan.co.jp/anonebook/index.html

 福音館書店のブッククラブは大きく2つに別れています。まず、新作の絵本を配本する「こどものとも」というコースがあり、年齢別に7つのコースが準備されています。

 さらにそれとは別の系統があります。すでに刊行されていて、評価が高い絵本を配本してくれる「あのね ぶっくくらぶ」です。不思議なことに、Webサイトでは簡単に見つけることはできません。どうしてだろう?

 大きく2系統に別れているわけですが、他社との一番の違いは、どちらのコースも、同社から刊行された絵本のみを配本している点です。豊富なリソースを持つ福音館書店にしかできないなぁ、これは。選択するにあたっては、この点が一番のポイントになると思います。つまり、他社から出ている本は、別に求めないと駄目ということですね。

 さらにコースを細かく見ていきましょう。まず、「こどものとも」についてですが、こちらは、先ほど説明した通り年齢別のコースが基本です。「こどものとも0 1 2」が10カ月~2歳、「こどものとも年少版」が2歳~4歳、「こどものとも年中向き」が4歳~5歳というように別れています(図3)。

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 ただし、それだけではありません。この配本コースは実は、「物語系」と「科学系」の二つに分かれています。科学系というと難しく聞こえますが、小さいお子さん向けに科学の不思議さをテーマにした絵本を配本します。自然とか虫、図形などをテーマにした絵本は、主として科学系絵本に入ります。

 こういった科学系の本を毎月作っているのは、すごいことですね。科学的なテーマを絵本にまで落とし込んで作る、という作業は、本当に大変です。科学立国を目指すのであれば、国が補助金出してでも、こういったシリーズをもっと普及させるべきだなぁ。

 もう一つ、大きなメリットは、「こどものとも」は、比較的料金が安いことです。表にも書きましたが、1年間で4920円。1カ月410円なんですね。リーズナブルだなぁ、正直言って。図鑑を買うよりもよほどいいかもしれません。ただ、1冊では物足りないという方も多いと思います。でも、「こどものとも」と「かがくのとも」を両方利用しても、1年間に1万円以内で済みます(郵送費は別途必要)。

実際の配本リストを見てみましょう。→配本リスト

 ここでは、10カ月~2歳向けの「こどものとも 0 1 2」のリストを見てみましたが、名前がよく知られている作家さんから、いい作品を作り出している方まで混合してますね。新作だと、どんな内容の本が来るかは分からないので、もう少し詳しかったり、絵が分かるような説明がほしいところです。

 正直に言うと、好みによって当たり外れはあると思います。評価が定まっていない、というかここで配本されて評価が高かったものが、単行本かされているというのもあるので、常に評価が定まった絵本がほしいという人にはあまり向いていないかもしれないですね。

 次に、すでに刊行された絵本を配本する「あのねぶっくくらぶ」です。こちらも年齢別に別れています(図4)。ただし、1歳ごとに輪切りにしてはおらず、「こがねむしコース」は0歳~2歳、「こりすコース」は2歳~4歳、「こねこコース」は4歳~5歳、「こうさぎコース」は5歳~6歳と、均等な分け方はしていません。ここは、同社が長年培ってきた子どもにどの時点で、読んであげるかという、ノウハウの結果でしょう。こちらも配本リストはちゃんと公開されています。→配本リスト

 こちらの料金は、「こどものとも」に比べると高くなります。それでも、1年間に1万円程度、と他のブッククラブに比べて安く設定されています。これも、配本数が1カ月に1冊のペースだからですね。「あのねぶっくくらぶ」と「こどものとも」を両方取っもまだ割安になっていますね。

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こがねむしコースの配本を見てみると、「わたしほんがよめるの」(作:ブルーナ)、「おつきさまこんばんは」(作:林明子)、「ねないこだれだ」(作:せなけいこ)といった、評価が高い名作に混じって、2008年に出た「おさんぽおさんぽ」(作:広野多珂子)、1998年に出版された「てんてんてん」(作:和歌山静子)といった新しい本も混じっています。

 福音館書店のブッククラブを整理すると、次のようになります(図5)。

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 では、配本における新作と古典の割合を見てみましょう。といっても、「こどものとも」は、新作絵本なので、ここでは「あのねぶっくくらぶ」のリストで算出しています。それを見ると、次の図のようになっています(図6)

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 実は表を作って驚いたのですが、意外に最近に出版された絵本が多いですね。福音館書店の場合、昔から作り続けている定番の絵本がいっぱいあるわけですが、そちらを配本せずに、新作を多く入れるというのは、良い絵本を世に送り出して定着させていくということなんでしょうね。そのため、同社の定番の絵本は意外に少ないです。この辺は、配本リストを見て判断してみてください。

今回、海外の絵本作家の比率も出してみました(図7)。結論からいうと、日本の作家の比率が高かったです。こちらも正直、意外なデータだなあ。もう少し海外の作家さんの比率が高いかと思いました。

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 幼稚園や保育園で、福音館書店のブッククラブを使っていることも多いので、月に1冊というのは、そうしたニーズに応えた結果なのかもしれないですね。また、新作が多いのはそれも理由かもしれません。

ただし、定番の絵本はほとんど持っていないという人は、ある程度定番の絵本を読んであげたほうがいいかな、とは思います。その場合、価格は高くなりますが違うブッククラブを使ったほうが、満足度は高くなると思います。

海外への発送にも対応しています。料金は安いのですが船便なので、届くまでに時間がかかります。おそらく、昔はそれでもよかったと思いますが、今みたいにすぐにほしいというニーズにも違う方法で応えてくれるといいと思います。新作だから、海外でこそ読みたい人も多いと思うので。

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