[大型絵本]てぶくろ(ウクライナ民話 絵:エウゲーニー・M・ラチョフ,訳:内田莉莎子,出版社:福音館書店)

文=まきむら あきこ

絵本のパティオ 「てぶくろ」は、旧ソ連圏のウクライナ地方に伝わる民話を基にした絵本です。最初に刊行されたのは、なんと1965年。50年近くにわたり、ロングセラーとなっています。名作絵本のひとつですね。

てぶくろ クリックするとAmazonの該当ページにジャンプします 長く愛されている絵本には、特徴あるパターンを持つものが多くあります。この「てぶくろ」は、ページを繰るごとに、登場人物が増え、物語の中核となるモノが、刻々と変化していくおもしろさを綴ったものとなっています。

 雪がしんしんと降るウクライナの森で、一人の老人がてぶくろを片方落としたところから、物語は始まります。手口のところに、ふかふかとした毛皮がついているミトン型のてぶくろ、森の動物たちの目にとまらぬはずがありません。

 最初にてぶくろを見つけたのは、ねずみでした。小さなねずみは、暖かなてぶくろに住むことを決めます。そして次の訪問者は、少し体の大きい、カエルの女の子です。

 雪深い森になぜカエルが?などと、細かいことを気にしてはいけません。なぜなら、いつの間にか「てぶくろ」は、小枝を積み上げた土台に赤い梯子までかけた、立派な「棲家」となり、読み手をファンタジーの世界に引きずり込んでしまっているからです。

 そして彼らの棲家には、次々と体の大きい動物が訪ねてきては、てぶくろの中に入ってこようとします。「ちょっと むりじゃないですか。」「とんでもない。まんいんです」と言いながらも、先の居住者たちは、みなとてもうれしそうです。

 日本の名作絵本でも、同じように住まいが変化していく「そらいろのたね」(作:中川李枝子,絵:大村 百合子)があります。そらいろのたねでは、家が大きくなるにつれ、居住者同士の距離感が大きくなっていくのに比べ、てぶくろの動物たちは、おしくらまんじゅうでもするかのごとく、幸せそうにぎゅうぎゅうになっていくのです。

 たったひとつのてぶくろが紡ぎだす心温まるファンタジーの世界を、どうぞお子様といっしょにお楽しみください。

タイトル てぶくろ
ウクライナ民話 絵:エウゲーニー・M・ラチョフ
訳:内田莉莎子
出版社 福音館書店
発売日 1965年11月
価格 1050円
ページ数/サイズ 16ページ/縦27.4×横22.4×厚さ1.2cm
対象年齢 読んであげるなら3歳から

カテゴリー: こころに残る絵本 タグ: , , , , パーマリンク