[こころに残る絵本]ぐりとぐら(文:中川李枝子,絵:大村百合子,出版社:福音館書店)

 文=まきむら あきこ

-[心に残る絵本]ぐりとぐら- こどもの頃に読んだ絵本で、思わずお腹が「きゅう」と鳴ってしまうほど、美味しそうなものがでてくる絵本といえば?  筆者が真っ先に思い浮かべるのは、「ちびくろさんぼ」に出てくるトラのバターです。黄金色に輝くバターが、世界一おいしい食べ物に違いないと、こどもの頃に思ったものでした。

image そして日本のオリジナルで、このトラのバターに匹敵する美味しいものが登場する絵本といえば、なんといっても「ぐりとぐら」が筆頭ではないでしょうか。

 紹介するまでもないほど有名な絵本ですが、今年はちょうど、発表されてから50年を迎えます。シリーズ化され、半世紀に渡り、絶大な支持を得てきた魅力とはなんなのでしょうか。

 大村百合子(大村は旧姓。現在は山脇百合子さん)さんが描く、「青い服のぐりと赤い服のぐら」、小さな2匹の野ねずみの愛らしさも、この絵本の大きな魅力です。

 そして絵と呼応するように、姉の中川李枝子さんが書き下ろす文章が、心地よい歌のように私たちの耳に響いてきます。

 しかし、なによりの魅力は、この小さな野ねずみたちが美味しいものが大好きで、そのためには労を惜しまず、実に生き生きとお料理をする楽しそうな様子です。

“ぼくらのなまえは ぐりと ぐら

このよで いちばん すきなのは

おりょうりすること たべること

ぐり ぐら ぐり ぐら”

 ぐりとぐらは、食材を手に入れるため大きなかごをもって森に出かけていきます。森で大きな卵をみつけた二人は、素敵なカステラを作ることを思いつくのです。

 フライパンにこんもり黄色く焼きあがったカステラは、絵本を開くとよい香りが漂ってきそうなほど美味しそうな仕上がりです。おすそわけにあずかった森の動物たちも、とっても幸せそうです。

 ぐりとぐら誕生50周年を記念して、福音館書店のサイトには特集記事が掲載されています。「ぐりとぐらの生みの親」という記事の中で、著者の中川李枝子さんは、「ちびくろサンボのバターに対抗して、ぐりとぐらのカステラを作った」とおっしゃっています。それを拝見して、「そうそう、あのバターに対抗するのは、ぐりとぐらのカステラしかないのだわ」と、ひとり納得する筆者なのでした。

 ところで、中川さんの童話「いやいやえん」の表紙に、赤いバケツを持ったくまさんが描かれていますが、このくまさんが、ぐりとぐらにもちゃんと登場しています。右手に赤いバケツ、左手に摘んだ花を持ち、わくわくしながらカステラの焼き上がりを待っています。

 そしてカステラを食べるときには、傍らにバケツを置き、積んだ花をバケツにそっと挿しているのです。こんな細かくてほのぼのする描写も、大村百合子さんの魅力のひとつだと思います。ぐりとぐらを読むときは、ぜひ赤いバケツのくまさんも、探してみてくださいね。

 

タイトル ぐりとぐら
作者 文:中川李枝子、絵:大村百合子
出版社 福音館書店
URL http://www.fukuinkan.co.jp/bookdetail.php?goods_id=220
関連URL 「ぐりとぐら」広場(福音館書店)
http://www.fukuinkan.co.jp/ninkimono/gurigura/birth.html
出版日 1963年(こどものとも版)
1967年1月(こどものとも傑作集)
価格 800円+税
判型/ページ数 縦20×横27cm/28ページ
対象年齢 読んであげるなら:3歳から
自分で読むなら:小学校低学年から

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