[絵本関連のNews]「アンネの日記」が著作権の保護期間をめぐり論争に

文=Pictio編集部

[絵本関連のニュース] 昨年は、TPPに絡んで著作権の期間が問題になりました。現在、日本の著作権法においては、著作権の保護期間は作者の死後50年となっています。これがTPPにより延長され死後死後70年までとなります。現在、ヨーロッパや米国などは死後70年になっているので、それに合わせる形となります。50年から70年になると青空文庫などが影響を受けることになります。

 さて、この著作権の保護期間は、今までに日本でもいくつか問題が出てきています。中でも「私と小鳥と鈴と」や「大漁」などで知られる詩人の金子みすゞ(1903-1930)が書いた詩をめぐっても、著作権の保護期間や二次著作権といったあり方をめぐり問題が起きています。そのため、死後、50年を経過した今でも青空文庫では公開されていません。

 そして、2016年1月、ユダヤ系ドイツ人だったアンネ・フランクの著作権の保護期間をめぐって論争が起きています。問題となっているのは、「アンネ・フランクの日記」です。アンネ・フランクは1945年、強制収容所で亡くなりましたが、生前に書いていた日記は1947年に出版されました。日本では1952年に翻訳されています。

 アンネが亡くなったのは、1945年です。オランダを含むヨーロッパの著作権保護期間については、1993年に「欧州連合域内における著作権保護期間の調和に関する指令」において「著作者の没から70年」と定められています。そして、2015年はアンネ・フランクが亡くなって70年目にあたる年だったのです。そのため、2016年1月1日にいくつかのWebサイトでは、アンネの日記はパブリック・ドメインになったとして公開を開始しました。サイトによっては、通常のテキスト版のほか、epub版や、Word版なども公開しています。

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 しかし、その一方でアンネ・フランク財団はWebサイトで、アムステルダム地方裁判所における2015年12月23日の判決では、公開されてから50年が経過するまで保護されるとし、アンネ・フランクの日記は、アンネだけでなく彼女の父のオットーも関わっており、オットーが亡くなったのは1980年であること、少なくとも2016年に著作権の保護期間が切れることはないと述べています。そして、1986年にオランダ戦争資料研究所から出版された「アンネ・フランクの日記」であれば、同作品の著作権の保護期間は2037年まであるとしています

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 今回の著作権をめぐる論争は、どうやら法廷に持ち込まれそうで、どちらに軍配があがるかはまだわかりません。ただ、アンネ・フランクの日記はまだ利益を生んでいるコンテンツです。それゆえ、より大きな論争になっているのでしょう。

 以前、絵本の作者の方達と著作権の保護期間について話したことがあります。そのとき「タダでないと読みたくないような本なら、読まないでいいと思う。そこには、作品に対するリスペクトというものは感じられないから」と述べられていたのを思い出しました。

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