Pictioは、2014年10月、新刊絵本「でんでんむしのかなしみ」を発売しました。これは新美南吉の作品を絵本化したものです。
こちらの絵本は、海外に在住している方に提供している、何冊でも読める・印刷できる定額の「Pictio Premium」で提供します。さらに、Googleブックスなどの電子書籍でも発売を予定しています。Pictioの絵本はPDF形式で販売し、ご家庭で印刷してお読みいただくことができますが、幼稚園や保育園向けには、A3版の紙芝居でも発売する予定です。
でんでんむしのかなしみが書かれたのは、1935年の5月。新美南吉の年表を見てみると、次のようなことが分かります。1931年、新美南吉は東京外国語大学に入学後、鈴木三重吉の「赤い鳥」などに投稿していました。しかし、1933年に鈴木三重吉と北原白秋がささいなことから衝突してしまい、北原白秋の門下にあった南吉も「赤い鳥」への投稿を取りやめざるをえませんでした。
「チチノキ」という同人誌にも投稿していましたが休刊状態であり、書いた物を発表する場所がない、という状態でした。さらに、1934年には喀血をし、症状は軽かったものの、結核の症状が出てきます。
こうした状況で、新美南吉の文学上の先輩である巽聖歌は、童話の執筆を依頼します。残念ながらこの話は出版には至りませんでしたが、1935年の5月には50編もの作品を書き上げたと言われています。そして、その中の一つに「でんでんむしのかなしみ」があります。
「でんでんむしのかなしみ」は、1950年に羽田書店から出版された「ろばの びっこ」という童話集に収められています。それは、新美南吉の死後のことでした。
さて、作品の紹介です。原題は、「デンデンムシノ カナシミ」です。カタカナで書かれているのですが、文章を平仮名として読みやすくし、小さいお子さんでも分かりやすいようにしました。実際に読んでみると、子どもだけでなく、大人にもこころに響く作品だと思います。
でんでん虫は、ある日、自分の背中の殻に、かなしみが一杯つまっていることに気付きます。でんでん虫は友達を訪ね、もう生きていけないのではないか、と自分の背負っている不幸を話します。友達のでんでん虫は、それはあなただけではない、私の背中の殻にも、かなしみは一杯つまっている、と答えるのでした。
本の題名 | でんでんむしのかなしみ |
作者 | 文:新美南吉、絵:熱田ゆうこ |
出版社 | Pictio |
発行日 | 2014年10月 |
価格 | 800円+税(Pictio Premiumでは定額制) |
判型/ページ数 | B5~A3/11ページ |
対象年齢 | 5歳以上 |
問い合わせ | http://www.pictio.co.jp/contact |