子どもとIT(第20回)-タブレットで導入が始まるデジタル教科書

文=木下由美

子どもとIT(第20回)-- 前回に続き、タブレットを小学生の学習で使うことについて、考えてみます。 タブレットをどのように活用するかを考えるとき、まず思いつくのは「教科書や補助教材」として、子ども達が手元に置いて使うということです。調べて見ると、いろいろ動きがありますね。

デジタル教科書 熊本の小中8校で導入
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20131001-OYT8T00764.htm

 この記事は、熊本県の教育委員会が、県内の8校で「デジタル教科書」を導入し、その効果を検証する取り組みが始まる、というものです。ここで使われる「デジタル教科書」は、文部科学省の検定を経た教科書を、文部科学省がデジタル化したものだそうです。文部科学省がデジタル化しているんですね。

タブレットを活用した「ユネスコ世界自然遺産」学習プログラムを提供
http://www.nttdocomo.co.jp/info/news_release/2013/07/08_00.html

 こちらは、2ヶ月ほど前のエヌ・ティ・ティ・ドコモによる報道発表資料ですが、タブレットを使った学習プログラムを支援し、実際に小学校で自然遺産についての学習を実施する、というものです。こちらは、動画や音声など紙ではできないことを前面に出している感じです。

 普通の教科書や教材は印刷物ですから、文字や写真・イラスト・図表などが載っています。でも、タブレット上では、それらに加えて、動画や音声も、組み込むことができます。昆虫の写真を見るだけだったものが、実際の動きを映像で見たり、鳴き声を聞いたりすることができるようになるわけです。

 また、読み手に応じて文字を拡大したり、音声読み上げを利用するなどの方法で、文字を読むことに難がある子どもを支援するのも、タブレットならば印刷教材に比べて、いろいろな手段があるので、手軽にできます。

絵本のPictio「子どもとIT」 そのほかにも、印刷物にマーカーペンで色を塗るかのように、タブレット上の文字列などを強調させるように色を付け、その部分を移動していくことで、「今、注目してほしい部分はここだよ」と、つい他のことが気になって集中力が途切れてしまう子をサポートする、といった利用もできるでしょう。

 国語辞典や漢和辞典なら、子ども達の手元に置いて授業中にすぐ調べるということもできなくはありませんが、学校で子ども達が使う机は狭く、通常は教科書とノートを広げると一杯になってしまいます。

 こういった辞典データも、タブレットから呼び出せるようにしておけば、わからない言葉や読めない漢字を放置することなく、その場で調べることができます。

 さらに、通常なら重くてかさばるために一人一人の机の上に常時置いておくことが難しい百科事典も、タブレット内で利用する、また、インターネットを使って調べるといった応用・発展的な学び方もできるでしょう。

 もし、すべての教科書が「デジタル教科書」化された場合、今までの教科書と違い、印刷・製本・(トラックなどによる)輸送・配布という時間やコストが軽減でき、ランドセルに国語・算数・理科・社会……と教科書や補助教材を詰め込まなくても、タブレット一つですむ、などのメリットも考えられます。

 「教科書」の場合は、文部科学省の検定があるので、勝手に内容を書き換えたりすることはできないようにしてあると考えられますが、「補助教材」ならば、教員が内容をその地域に合うようにアレンジしたり、訂正箇所などの更新作業も印刷物に比べれば格段の手軽さでできるようになると思います。

画面タッチ意思疎通、発達障害の子向けアプリ…島根
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=85304

 この記事は、自らも発達障害を持つ男性が、発達障害などを持つ子どもが周囲の人とのやりとりを支援するアプリケーションを開発し、既に特別支援学校などで利用が始まっている、という記事です。指だけで操作できるタブレットは、特別支援教育の場でも、活用が期待されるものだと言えるでしょう。

 タブレットは、PCに比べてセキュリティでの心配が少なく、しかも教える側にも、それほどITスキルが必要とされません。ツールとして見ると、かなり優秀なのは間違いありません。それだけに、教える側の工夫や、ノウハウによって、成果が大きく分かれることになるかもしれません。

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