新・子どもとIT(第2回)-サービスって何のこと?

文=塩田紳二

子どもとIT-- 今回は、「サービス」という言葉について説明することにしましょう。パソコンやスマートフォンなどの「ハードウエア」、ワープロソフトや表計算ソフトなどの「ソフトウエア」に対して、サービスが一体何を指しているのか分かりにくいためです。また、普通に想像できる「レストランでのサービス」とか「この店はサービスが良かった」というものとは、ITで使われているサービスの意味とは少し違っています。

 ITでいう「サービス」とは、インターネットなどのネットワーク上で提供され、パソコンやスマートフォンなどの機器で利用できる「機能」を指しています。

 従来のコンピュータとソフトウエアの組み合わせは、CDプレーヤー(ハードウエア)と音楽ディスク(ソフトウエア)のような関係でした。ハードウエアの上でソフトウエアが動いて、文章を書いたり、写真を加工したりといったことができるわけです。これに対してサービスは、ラジオ(ハードウエア)と放送局(サーバー)のような関係だと捉えると分かりやすいです。

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 もう少し詳しく見てみましょう。CDプレイヤーと音楽ディスクでも良いのですが、パソコンを例に説明します。ワープロソフトは文章を書くためのソフトウエアですが、機能だけをシンプルに見ると、文字を入力したら画面に表示してくれるもの、といえます。こうした「機能」だけを考えたとき、どのメーカーのワープロソフトであっても同じです。

 ここで考え方を少し広げてみます。もし、インターネットで文字を入力すると画面に表示してくれるWebサイトがあったらどうでしょう? ここを使えば、ワープロソフトと同じことができます。しかし、このとき、画面を表示しているのはWebブラウザーであって、ワープロソフトではありません。

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 また、キレイな画面で表示しているのは、インターネットのWebサイトであって、パソコンやスマートフォンの中にあるソフトウエアではないわけです。

 従来、ハードウエアとソフトウエアを組み合わせて実現していた機能は、インターネットのどこかにあるコンピューターが代わりに行っているわけです。このようにネットワークで機能を提供しているものをITでは「サービス」と呼んでいるわけです。

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 こうしたサービスを動かすためのコンピューターを「サーバー」といいます。 「サーバー」とは、「配る」という意味の英単語「Serve」に「~する人/する道具」という意味を作る「er」を付けたものです。また、サービス(Service)は、「Serve」という動詞が名詞になり「奉仕/有用なこと/助け/役務」という意味になったものです。つまり「サーバー」とは「サービス」を行うためのコンピューターだというわけです。

 もし、サーバーでワープロのような表示ができるサービスがあれば、そしてブラウザ-が動くハードウエアがあれば、そのハードウエアではワープロという機能が利用できるようになります。Webブラウザーが付いているテレビであれば、パソコンやスマートフォンでなくても、ワープロのような機能が使えるというわけです。

 こうした機能がインターネットで提供されるメリットはとても大きいのです。従来からワープロソフトはOSや機種ごと、例えばWindows用とMacintosh用で違うものを用意しなくてはなりませんでした。

しかし、インターネットのサービスであれば、ハードウエアごとに個別に作る必要がありません。Webブラウザーから利用できる機能は、パソコン用だろうとスマホ用だろうと同じだからです。ディスプレイのサイズなどで見え方は違うこともありますが、利用できる機能は同じです。

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 サーバーを作り、それに対応するハードウエアは何でもよいですよという形にしたのがサービスだともいえます。これは大きな発想の転換で、ITというカテゴリが大きくなった理由の1つです。

 サービスを拡大解釈していくと、ファイルをインターネットに保存するオンラインストレージや、メッセージをやり取りするチャットから、通販サイトやオンライントレードなどすべてが、サービとして捉えることができます。

 つまりインターネットは、サービスを使う場所と考えることができるわけです。そうすると、インターネットに接続して、コンピューターでやることはすべてサービスということになります。では、今後すべての機能がインターネットでサービスとして提供されるかといえば、そうはならないでしょう。今でもワープロや表計算のソフトウエアが使われるのは、サービスでやるよりも「効率」がいいからです。

 またスマートフォンは、パソコンに比べるとまだまだ性能が低く、パソコンではサービスで利用できることでも、スマートフォンで使うと遅くて実用性が低くなってしまうものもあります。こうしたものは、アプリで使う方が便利です。

 データ通信速度の向上によって、スマホのアプリには、本質的な部分はサービスになっていて、スピードが必要な部分だけをソフトウエアと役割分担しているものもあります。これは、スマートフォンには、インターネットの接続機能があり、いつでも利用できるからです。

 インターネットが登場する以前は、広く一般に機能をサービスとして提供することは事実上できませんでした。インターネットが登場し、そしてコンピュータの性能があがり、スマートフォンなどのようにいつでも通信ができる機器が登場して、初めて広く一般に機能をサービスとして提供できるようになったのです。

 最近は、いろいろな機能がサービスとして提供されることが増えています。ちょっと複雑ですが、このサービスの概念を理解しておくと、ITを理解するポイントの1つになります。

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