子どもとIT

子どもとIT(第31回)-次はスマホになるけれど・・・

文=木下由美(テクニカルライター)

[子どもとIT] 今回は保護者のスマホ、具体的にはお母さん方のスマホの話をしようと思います。 グッズ好きな男性が多いのに比べると、女性はそれほど多くありません。周りを見ていても、男性のほとんどがスマホに切り替えているのに対して、女性はまだ従来の携帯電話(ガラケー)を使っている人が多いと思います。

 「通話にしか使わないし、それで十分だから」というのが大きな理由ですが、これから携帯電話を買い換えようと思っても、もうスマホしか選べないかもしれません。と言うのは、もう従来の携帯電話は製造されなくなり、外見や操作性は従来型携帯に似せたスマホ(ガラパゴス・スマートフォン、略してガラホ、あるいはガラスマ)ばかりになるといわれています。

2017年以降に生産終了となるガラケー、以降は「ガラホ」に統一
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/matome/15/325410/042700020/
2015年4月27日

 周りを見ても、スマホを持つお母さんは急速に増えました。息子が通う小学校で、図書ボランティアなどをしているのですが、今年度の初めにメンバーの連絡先を確認したところ、委員18人のうち11人はスマホ、別のグループでは21人中16人がスマホを使っています。それだけスマホの割合が高いと、使うサービスもスマホがベースになります。

 「スマホに変えても、通話だけなら変わらないのでは」と思うかもしれませんが、大きく変わることが二つあります。一つは月額費用。これは大幅に高くなります。それはガラケーでは使っただけ課金される「従量制」から、使っても使わなくても課金される「定額制」へと料金プランが変わるためです。

 スマホでインターネットを利用する場合、定額制の料金プランになるため、使っても使わなくても料金は一定です。であれば、新しいサービスを試してみてはどうでしょうか。新しいサービスを使うことで、日常生活が便利になることも多いです。

 従来の携帯電話では「通話」と「メール」が主に利用されるサービスで、これらは携帯電話に標準で搭載されているものを利用する形でした。それに対して、スマホでは「通話」と「メール」を使うのは変わらないのですが、携帯電話に標準で搭載されているものに加えて、「アプリ」と呼ばれるソフトを使うことが多いのです。

 つまり従来の携帯電話のような「通話」と「メール」はスマホでも変わりません。しかし、スマホではさらにアプリを使って「通話」と「メール」もできます。標準の「通話」や「メール」とは別に使い分けるということです。複数使うメリットは、そのほうが料金が安く済むこと、もう一つは今までできなかった使い方ができることです。例を挙げて、どう変わるのかを説明しましょう。

 幼稚園や保育園、小学生のお子さんがいる家庭では、頻繁に幼稚園や保育園、小学校に行きます。特に小学校では、いろいろな委員を担当することが多いので、連絡事項や日程調整など他の方とのコミュニケーションが欠かせません。

 そんな時に役立つのが、スマホのアプリ「LINE」です。LINEでは、従来のメールではなかなか難しかった使い方ができます。一番大きいのがPTAなどの「委員会などのお知らせ」です。これまで委員会などでは「次回の活動は×月×日です」といった連絡は、印刷物を配布するか、携帯メールを使っていました。ところが、ガラケーでは大勢の人に同じメールを送信したくても、一度に宛先を5人までしか指定できないといった制限がありました。そのため20人に連絡をするには、宛名を入れ替えては送信を繰り返すという作業が必要でした。

 パソコンのメールソフトから送信すれば、宛名が100人だろうが1000人だろうが一回の送信すれば終わりなのですが、ガラケーのユーザーは「迷惑メールの着信拒否設定」をしてパソコンからのメールを拒否していることも多く、メールが届かないことが多いのです。

 いろいろ試した結果、ガラケーを使って宛名を入れ替え送信するという面倒な手段が一番確実でした。ただ、知らぬ間にアドレスを変更していたり、機種変更のためにアドレスが変わったりしていて、メールが届かず連絡が取れなくなってしまうという事も多く、ITで省力化=楽になる、という公式が成り立たない世界でした。

 こういったことが、LINEの導入で楽になりました。LINEにはグループという機能があり、グループ同士のメッセージのやり取りが簡単に行えます。メッセージを読んだかどうかが分かる機能もあるので、送ったメッセージが全員に読まれたかどうかが一目で分かるようになりました。

 また、長電話でも無料です。通常の電話では、家族通話などを除き通話は無料にはなりませんが、LINEを使っているユーザー同士なら遠距離だろうがどれほど長時間だろうが、料金はかかりません。LINEがインターネット回線を使っているサービスだからです。そのため、事務的な連絡を多くの人にする場合でも、通話料を気にしなくてよいので気が楽です。

 もう一つ、面白いサービスを紹介しましょう。それは位置情報を使ったサービスです。先ほど紹介した「LINE」には、「LINE@」という機能があり、お店からのお得な情報を流していることがあります。これは、あらかじめお店を登録しておくと、その場所に近づいたときに、情報を自動的に表示してくれるサービスです。

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 こういうサービスは、スマホが登場して出てきたサービスです。ガラケーからスマホになったことで、新しい使い方が生まれています。世の中には、無料で使いやすいアプリもたくさんあります。スマホに変えたら、いろいろなサービスを試してみてください。

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[子どもとIT]子どもにネットを使わせるとき、どう接するか-過去の事件を振り返る-

文=森本健太郎(ライター)

子どもとIT 子どもがインターネットを普通に使うようになってから、まだ10年ちょっとしか経っていません。子どもに対する影響という点では、テレビの視聴なども問題になりますが、すでに登場して長いメディアなので研究もある程度進んでいます。

 しかし、インターネットは登場してからの時間が短く、子どもに対してどのような影響があるのか、はっきりと言い切れないのが現在の状況です。

 しかも、今の子どもたちを見るとインターネットで調べ物をする宿題が出る小学校もありますし、習い事をする子どもにとっては携帯電話やメールで親とやり取りをするのもあたり前です。ネットを抜きには子どもの生活も成り立たなくなっています。こうしたプラス面を大いに利用しつつ、マイナス面をどれだけ押さえ込めるかというのが今の課題だと思います。

 その時に問題なのが、インターネットは従来の電話やテレビといったメディアと違い、”見えないメディア”だという性質です。各種のインターネット利用調査などを見ていると、多くの保護者が子どもがインターネットを利用していることは把握しています。しかし、どう使っているのかを把握できていません。

 SNSに書き込んでいろいろな人とやり取りしているのか、メールを使っているのか、あるいは親が知らない学校の裏掲示板を使っているのか、どんな使い方をしているのかが分からないのです。電話やテレビの場合、保護者が見える場所で使用されることも多く、どんなことを話しているのか、何を見ているのかという把握がある程度はできていました。しかし、インターネットはそれが不十分なのです。インターネットは、きわめて“プライベート”なメディアであるということを、改めて認識する必要があると思います。

 もう10年ほど前になりますが、長崎県の佐世保市の小学校で、小学校6年生の女児児童が同級生の女児児童にカッターナイフで殺傷されるという事件がありました。

●事件の概要
加害者は、同級生の被害者とは、かねてから交換ノートを交わしたり、インターネット上でメールをやりとりするなどの交流を持っていたが、交換ノートやホームページ上に被害者が記載した内容を見ているうちに、自分のことを馬鹿にし、批判しているように感じて立腹し、怒りを募らせた揚げ句、被害者を殺害しようと決意し、平成16年6月1日12時20分頃、3階学習ルーム内において、カッターナイフで被害者の頚部等を切りつけ、間もなく、被害者を頚部刺切創等に基づく失血により死亡させた。

出所:長崎家庭裁判所佐世保支部の審判決定要旨より

 家庭裁判所の審判決定要旨には、加害児童には認知面・情緒面に偏りがあるとされています。そして、それと並んで書かれているのが、「加害者にとって交換ノートやインターネットが唯一安心して自己を表現し、存在感を確認できる居場所になっていた」というネットのプライベートな側面でした。

 加害児童は、オリジナリティーやルールへの強いこだわりから、交換ノートなどに参加していた同級生に対し、自らの表現を無断で使用することに対して注意します。このことに息苦しさや反発を覚えた被害児童は、交換ノートで反論し、またWebサイトに名指しは避けながらも加害児童への否定的な感情を書き込みます。これに対して、加害児童は自らの居場所への侵入と感じ、怒りを覚え犯行に及びました。

 今は、出会い系サイトなどやゲームによる高額請求、児童ポルノなどの被害が取り上げられることが多いのですが、子どもにとっては、身近な人とのコミュニケーションのすれ違いからくるトラブルも大きな問題です。それはなかなか表に出てきにくいものであり、ネットいじめともつながっています。そして、それが当事者が感情を抑えきれないと、このような事件になりかねないということを示しています。

 審判決定要旨を読むと、残念ながらこうした児童同士の感情のもつれに関して、担任や学校は気が付いていませんでした。また、この小学校は1学年1学級という小規模校だったのですが、きめ細かい観察や指導は十分ではないと推察されています。つまり、小規模な小学校で指導するのが無理であるとすれば、他にはそうしたトラブルに気がついて対応できるのは家庭だけである、という現実です。

 もうじき夏休みですが、メールで遊ぶ約束や近況をやり取りする機会も増えていきます。小学校や中学校のお子さんたちに、インターネットの使い方を教える際、多くの方が出会い系の危険性などを教えます。でも、それと同時に身近な人とのコミュニケーションに、どれだけ気を遣う必要があるかということも、教えてあげてください。

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[子どもとIT]小学校ではネットいじめの件数はどれくらいあるの?

文=森本健太郎(ライター)

子どもとIT 最近は、ネットいじめについて目にすることが多くなりました。携帯電話やスマホを利用する年齢が低下してきて、小学生でもスマホを持つことが珍しくないからでしょう。とはいえ、実際はどれくらいの件数があるものなのでしょうか。

 文部科学省のWebサイトに「平成25年度児童生徒の問題等生徒指導上の諸問題」という調査結果があります。この調査は、全国の国公私立の小学校、中学校、高校などを対象に行われているもので、いじめや暴力行為、そして生徒の自殺などについて文部科学省が調査を行っているものです。

 発表自体は、昨年10月に行われていて少し時間が経っていますが、今回の記事ではこの調査のネットいじめに関連する内容についてご紹介します。

 まず、発表のデータはこちらで入手できます。→平成25年度児童生徒の問題等生徒指導上の諸問題

 PDFのファイルサイズは、2.5MBあり、表が多く使われていますので、パソコンで見ることをおすすめします。また、この調査結果は2014年10月に発表されていますが、その後数値を訂正したものが、2015年12月に再発表されています。リンクは修正したものとなります。

小学校においては、いじめの件数はほぼ横ばい

 ネットいじめの前に、全体的ないじめの状況を見ておきます。まず、2014年度において小学校・中学校・高校・特別支援学校において、いじめと認知されている件数は、18万5860件でした。生徒100人あたりで1.34件ほどとなりいます。学校の種類別に見てみます(表1)。

●表1 いじめを認知した小学校と認知件数

区分 学校総数 認知した学校数 認知件数 いじめのある
学校の割合
国立小学校 74校 39校 427件 52.7%
公立小学校 2万836校 1万118校 11万7688件 48.6%
私立小学校 221校 74校 633件 33.5%
合計 2万1131校 1万0231校 11万8805件 48.4%
出所:文部科学省「平成25年度児童生徒の問題等生徒指導上の諸問題」より

まず、「いじめ」の定義ですが、以下のようになっています。

本調査において、個々の行為が「いじめ」に当たるか否かの判断は、表面的・形式的に行うことなく、いじめられた児童生徒の立場に立って行うものとする。 「いじめ」とは、「児童生徒に対して、当該児童生徒が在籍する学校に在籍している等当該児童生徒と一定の人的関係のある他の児童生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものも含む。)であって、当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているもの。」とする。なお、起こった場所は学校の内外を問わない。「いじめ」の中には、犯罪行為として取り扱われるべきと認められ、早期に警察に相談することが重要なものや、児童生徒の生命、身体又は財産に重大な被害が生じるような、直ちに警察に通報することが必要なものが含まれる。これらについては、教育的な配慮や被害者の意向への配慮のうえで、早期に警察に相談・通報の上、警察と連携した対応を取ることが必要である。

 調査結果を見ると、公立学校においては、ほぼ2校に1校でいじめが発生していることになります。この調査結果は、発覚して学校が認知したものだけですから、実際にはもっと高いと考えてよいでしょう。

 この調査は毎年、継続して行われているのですが、当初は、公立小学校・中学校・高等学校のみが対象だったのですが、平成6年度および平成18年度に調査対象の学校数が変わったこともあり、単純な比較はできません。できるのは、平成18年度以降の調査となります。そして、平成18年度と比較してみると、小学校のいじめの件数は、微増しているものの、ほぼ横ばいの状況です。

 そして、気になったのが「いじめの様態」です。これはどんないじめを受けているのかということで、「仲間はずれや集団による無視」「金品をたかられる」のほかに「パソコンや携帯電話等で、誹謗中傷や嫌なことをされる」という項目があり、いわゆるネットでのいじめに相当します。この数値はというと、次のようになっています(表2)。

●表2 ネットいじめの件数

国立小学校 2件
公立小学校 1705件
私立小学校 5件
合計 1712件
出所:文部科学省「平成25年度児童生徒の問題等生徒指導上の諸問題」より

 調査において小学校におけるいじめの総件数は、11万8748件です。そのうちネットいじめの件数は1712件にとどまっていて、割合としては約1.4%。ほかのいじめほどは高くありません。しかし、小学生の間にネットいじめが存在すること自体が問題ではあります。もちろん、この調査結果には現れていないものも多いですし、都や県の調査ではネットいじめの数値がもっと高いところもあります。ただどの調査結果を見ても、小学生の間はほかの種類のいじめほどは多くない、ということは言えると思います。

 最近は、携帯を持つ年齢が下がってきていて、小学校低学年から持たせる家庭も増えてきています。今のスマホの普及速度を考えると、その流れが変わることはないでしょう。今の小学校では、まだ携帯やスマホについて使い方などを教えることはほとんどないので、保護者の知識が子どもの使い方や安全に直結します。

 いつでもどこでも通話でき、メールもできる便利な世の中ですが、お子さんに最初に携帯電話やスマホを持たせた時、どのような使い方ができ、どう使えば危険が増すのかなど、保護者の方が知っておくべきことはますます増えているようです。

投稿日: 作成者: Pictio Editor カテゴリー: 子どもとIT